利用者からの暴言や暴力
介護現場でのトラブル
高齢化で介護職の仕事をしている方も多くなってきている現在、サービスを受ける利用者からの暴力トラブルが目立つようになってきました。この問題は、実際に高い確率で介護職員が経験していて、実に全体の約98%にもなるという調査結果があります。
最近、よく耳にするニュースとして、介護職員から利用者への暴力トラブルがあります。しかし、介護施設や知的障害者の入居施設などで起こる、ニュースで取り上げられるトラブルとは逆の問題が現場では起きているのです。これが、利用者から職員への暴言や暴力です。このようなトラブルで怪我を負ってしまった場合でも、社会的にあまり知られていないため、周囲からも心配されない傾向があります。また、仕事なのだと自分自身を納得させ、黙って耐えている介護職員も多いのです。特にホームヘルパーは、利用者の生活空間でサポートを行うため、トラブルが起きても相談できずに我慢してしまう場合があります。このような事案が起こったとしても、職員の問題として扱われるケースもあり、さらに悪循環となっているようです。
トラブルが起きる現状
今の介護保険制度は、介護が必要な利用者がサービス内容を選べます。そのため、立場的には利用者が優位になり、施設を選ぶ側になってきています。この場合、利用者からの暴言や暴力行為によって、怪我や精神的負担を与えられるリスクも生じてきます。実際に、怪我や精神的負担によるストレスで、離職してしまうケースも発生しています。この場合のトラブルの原因となる相手は、認知症の高齢者が大半を占めます。利用者からの暴力や暴言に困惑する職員も多いため、利用者に対する接し方を改めていかなければなりません。
認知症の利用者による暴力行為
認知症を患っている利用者とのコミュニケーションは、難しい部分があります。これは、「BPSD」という認知症特有の行動や心理症状が原因となっています。暴力や暴言、幻覚や妄想など多種多様の症状がある「BPSD」は、個人によって状態も異なり、介護する職員は対応に追われます。
認知症の高齢者は、叩く、ひっかく、噛むなどの危険な暴力を振るう場合もあります。体は健康な状態で認知症の場合は、力の加減が上手くできず、職員が怪我を負うこともあるのです。認知症の方は、自分の意思が伝わらない現状や、記憶がなくなっていくことに精神的な不安を持っています。そんな自分自身に苛立ち、そのストレスの矛先が職員になってしまうのです。利用者が葛藤していることを考えると、多少の暴言や暴力に対して我慢してしまう職員が多い事実もあります。
認知症は徐々に生活が困難になるため、周囲にも大きな影響が及びます。そのため、問題行動として扱われる現状があります。