ご家族からの理不尽なクレーム

介護現場の実状

現代は、生活スタイルや家族構成も、核家族や独居の高齢者、大家族などさまざまです。そのなかで、介護施設を利用される方も多くなってきています。介護施設の利用者は、ご家族とともに生活をしていらっしゃる高齢者が大半になります。利用する理由としては、高齢者が高齢者を介護する状況や、ご家族がいても日中は仕事で面倒をみることができないなど色々です。自宅でできない部分を介護施設で補う意味も含め、施設や職員へ求めるケア内容も要求が多くなる傾向にあります。介護保険制度が導入されて以降、利用者自身がサービスを受ける施設を選ぶことができて、利用者側の意識が強くなった実状もあるのです。

介護現場の実状

「モンスター家族」の存在

介護施設の利用者が増えると同時に、介護現場においてのトラブルも増加傾向にあります。最近では「モンスター家族」と呼ばれる、理不尽なクレームをする利用者のご家族が多いのです。
職員に対して暴言や暴力を振るってしまうご家族は、ある理由から理不尽な要求を出してくることがわかってきました。その理由は、利用者本人に対する愛情の裏返しや、介護ストレスを職員へと向けて発散させていることです。実際の現場では、職員は多くの利用者をケアしなければならず、個人的な対応の時間があまり取れません。しかしご家族は、もっと個人に対して時間を割き、単独のケアを望む傾向にあります。また、この要求は年々激しくなり、手に負えなくなるケースもあります。
ご家族からの理不尽な要求は、介護施設側を悩ませる原因でもあります。このような「モンスター家族」の問題の背景には、毎日の介護ストレスや不満の積み重ねがあるのです。

理不尽な要求内容

「モンスター家族」からのありがちな要求として、部屋替えがあります。この要求は、利用者本人の意向というよりも、そのご家族の考えや思いが強いのです。この要求が、トラブルをまねくきっかけとなります。
多くの介護サービスがあるなかで、入所型施設では個室を選択できる場合もあります。その利用料金は施設によっても異なり、別料金が発生することがあります。「モンスター家族」から出る部屋への希望が、個室にすることで満たされるとしても「料金を払わないといけないから」と断られるのです。そうなると、他の部屋を準備しなければいけなくなります。その他にも、満床の部屋で窓側を強く希望することや、対処のしようがないことを平然と発言することもあります。多くの利用者が入所している介護施設内でこの問題が起きると、入所者すべてに影響すると言っても過言ではありません。場合によっては、1人の方を優遇したとなれば、他の利用者とのトラブルへと発展しかねないのです。
職員の悩みの原因でもある「モンスター家族」からのクレームは、しっかりとした理由がなく、自分本位の傲慢さがうかがえます。また、ひとつ要求を聞いてしまうとさらに難しい要求が続くことも多く、終わりが見えない深刻な悩みとなります。このようなモンスター化が起きる問題は、職員の問題ではなく介護業界全体で共有すべき事案なのです。